一見、ごく普通のツグミですが、このツグミはいつもネイチャーセンター正面の岸辺にいます。水辺にツグミがいることは珍しくはありませんが、この1羽のツグミは、毎日、一日中ここにいるのです。
どうやらこのツグミは、この岸辺にいればおいしいものを食べられることを覚え、居着いているようなのです。 標識をつけているわけではないので同一個体とは言い切れませんが、いつも同じ模様のツグミが1羽だけ同じ所にいるので、たぶん同一個体ではないか、と思います。
その「おいしいもの」 とは、砂の中にいるゴカイです。このツグミは、岸辺を歩き回っては地面からゴカイをつまみ出して食べています。完全に味をしめてしまった様子。殆ど飛ぶことを忘れ、一日中徒歩で岸辺を右往左往して過ごしています。
岸辺を歩き回ってゴカイを食べるという性質は、まさにシギやチドリそのものです。まさにこの鳥は、「ツグミの皮をかぶったシギ」です。そして、本家本元のシギであるイソシギがやって来ると、ここから追い出そうとします。
ツグミは本来、農耕地や公園などにいる陸の鳥であって、いわゆる水鳥には含まれません。この水鳥化したツグミはいつまでこんな生活を続けていくのか、興味深いものです。